今回試乗したモデルは323i M-sportパッケージ。
2.5Lの直列6気筒を載せるフロントエンジン、リヤドライブの4ドアセダン。
日本市場では同価格帯、同サイズにメルセデスベンツCクラス、ボルボS60、アルファロメオ157などがひしめき、輸入車で最も販売競争が激しいクラスに属する。
その中でBMW3シリーズは伝統の直列6気筒とスポーティな走り、ドイツ車ならではの高品質が受け入れられ、メルセデスベンツCクラスに次ぐ人気を得ている。
従来、BMWのデザインはそのスポーティイメージに反し保守的なものが多かったが、今回のニューモデルでは思い切ったデザインを採用。
FRレイアウト車に理想とされる50:50の前後重量配分を実現する為、フロントオーバーハングを短く切り詰め、キャビンを後ろ寄りとする事でスピード感のあるサイドビューとの両立を果たしている。
【テクニカルデータ】
全長4525mm×全幅1815mm×全高1425mm ホイールベース2760mm 車両重量1510kg
エンジンは2496cc DOHC直列6気筒 130Kw(177ps)/5800rpm、230Nm(23.5kgm)/3500-5000rpm
ミッションは6速オートマチック。
BMW323i最大の魅力はこのエンジン!
回転が上昇するのに比例しパワーが重なっていく感じ。
数値上では3500-5000回転で最大トルクが一定になるようコンピュータで調整されているが、不自然さは全く感じられず、低回転から高回転までスムーズな回り方をする。
排気音も意図的に運転席が一番良く聞こえるようになっており、ドライバーのスポーツマインドを刺激する。
絶対的なパワーも十分以上。323iは一つ上級グレードの325iと比較し、最大出力が30Kw(41ps)落ちるのだが、市街地走行で体感できる程の差はない。
組み合わされるオートマチックもエンジン同様スムーズ。6速化により各ギヤ比の差が小さいので、市街地走行では意識していないとシフトアップした事に気付かない。精密に設計されたエンジンとオートマチックの相乗効果で同クラスの6気筒モデルと比較すると燃費も良い。
今回試乗したモデルはM-sportパッケージがオプション装備されており、外観では専用のエアロパーツやサスペンション、アルミホイール、内装では専用ステアリングホイール、アルミ調トリムなどが奢られ、ベースモデルより精悍でスポーティな見栄えとなっていた。
ただし、このM-sportパッケージは見栄えを重視する方以外にはお勧めできない。
専用サスペンションにより確かにステアリングの応答性は素早く、コーナリング時のロールも抑えられているのだが、ステアリングホイールは太すぎて握りにくく、市街地ではゴツゴツした乗り心地。
フロントタイヤサイズが225/45R17と過剰に太くない為、轍にハンドルをとられる事はないがBMW本来の乗り味とは異なる。
BMW3シリーズはスポーティな感じを楽しむ大人の車であり、冷や汗をかきながら峠道を攻める類の車ではない。
ベースモデルの方が乗り心地と操縦性のバランスは遥かに優れている。
また、力強いデザインを演出する為、フロントフェンダーがドライバーの想像以上に出ており、狭い場所でのすれ違いには気を使うであろう。
下位モデルの1シリーズとの差別化や側突安全性確保の為、全幅の拡大は避けられないのかもしれないが、3シリーズ誕生時のコンパクトなスポーティセダンというコンセプトからは、もはやかけ離れてしまっている。
しかし、それでもこの車が一部の車好きに依然として人気がある理由は、アイデンティティを演出する為にコストを惜しまない点ではないだろうか。
高価なマグネシウム合金を採用するエンジンはもちろん、フェンダーやドアの複雑なデザインを可能とするプレス加工など。(複雑な形状を1度で成形しようとすると鉄板が破れてしまう為、工程を幾度に分けて成形する)
いずれもBMWのようなプレミアムカーには大切な演出だ。
BMW3シリーズは搭載されるエンジンとこのポリシーを味わうだけでも買う価値がある車だと思う。